新藤兼人監督の映画『一枚のハガキ』より。(C)2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス4月22日、米国ニューヨークのブルックリンにあるBAMシネマテークにて開催される「新藤兼人監督回顧展」(4月22日から5月5日まで @BAM Rose Cinema)にて、最新作である『一枚のハガキ』がプレミア上映されることが決定しました。また、本回顧展は、オスカー俳優のベニチオ・デル・トロが発起人となって実現されたことが明かされました。

なおオープニング初日である4月22日は、奇しくも新藤監督99歳のお誕生日です!

本回顧展開催に向けて、新藤監督からのコメントも届きました。


私は広島の生まれだから、広島へ原爆が落とされたことを99歳のいまも忘れることが出来ない。何故、無断で戦場ではなく、平和な町へ落としたのか?それを問いたい。
今回、「原爆の子」がアメリカの中央都市であるNYの映画館で公開されることは、非常に名誉だと思うし、この映画を作った甲斐があると喜んでいる。この映画は被爆7年後の広島で撮影された。当時はまだGHQの占領下にあり、復旧しつつある広島の町とは言え、生々しい原爆の傷跡が感じられるだろう。是非、いまのアメリカの人々に観てほしい。そして、原爆、戦争と言うものに対して一緒に考えて欲しい。
日本ではいま過去最悪の大地震と津波により、多大な人命が失われただけでなく、原子力発電所の被害により放射能の恐怖に覆われている。いま、原爆・放射能の問題は世界の問題となった。これからの世界を作る人々にこの世界の問題を考えてほしい。みんなが未来を作るのです。
私は今年99歳になります。もうこれで私の映画人生は終わります。私の映画人生を終わらせるために最後の映画を撮りました。「一枚のハガキ」という映画です。最後の力をこめて作った映画です。戦争はひとりの兵士を殺すだけではなく、そのすべての家族、家庭も壊すおろかな行為です。そして、どんなことがあっても人間は立ち上がれるという人間の力強さを、僕の長い人生の中で締めくくりの映画として作りました。その「一枚のハガキ」も今回上映されます。どうぞ皆さん「一枚のハガキ」もちゃんと見て下さい。
最後に、今回この催しを企画して下さったベニチオ・デル・トロさんに感謝します。彼の勇気ある行動を非常にありがたく思っております。アメリカの人に私の代表作を見てもらえるのは、私にとって大変嬉しいことですし、非常に光栄に思っています。


映画『一枚のハガキ』ストーリー

戦争末期に召集された兵士100名のうち、94名が戦死し6名が生きて帰ってきた。その生死を分けたのは、上官が彼らの任務先を決める為にひいた“クジ”だった―――。

モスクワ、ベルリン、モントリオールなど海外の映画祭をはじめ、国内でも日本アカデミー賞、東京国際映画祭など国内外で数々の栄誉に輝く巨匠・新藤兼人が自ら「映画人生最後の作品」と語る本作は、自身が生き残った兵士6人のうちの1人である新藤監督の実体験を元に作られた。人の命が“クジ”に左右され、兵士の死は残された家族のその後の人生をも破滅に導く。そんな戦争の愚かしさを、新藤兼人は体験者ならではの目線で、時に激しく、時に笑い飛ばすように描いてみせた。

なお日本でも、『一枚のハガキ』公開直前にテアトル新宿にて新藤監督特集が予定されています。


原題=一枚のハガキ
日本公開=2011年8月6日
配給=東京テアトル
公式サイト=http://ichimai-no-hagaki.jp
cc2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス 
 2011年/カラー/35mm/114分/日本


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