映画『シャンハイ』舞台挨拶にて、菊地(左)と渡辺。写真2点、撮影:南樹里8月16日、“アジア版『カサブランカ』”と名打った、米中合作映画『シャンハイ』特別試写会が催され、国際派俳優&女優の渡辺謙と菊地凛子、そしてミカエル・ハフストローム監督が初来日し上映前の舞台挨拶に登壇した。監督が渡辺と菊地のことを「こんなにファニーな方とは思わなかった」と語るだけあり、2人は初共演だと感じさせることなく、壇上でユーモアのセンスを発揮した。

1941年、太平洋戦争開戦前の上海。 親友コナーの死の謎を究明するため、米国諜報員ポール(ジョン・キューザック)は上海へ。裏社会のボス(チョウ・ユンファ)とその妻アンナ(コン・リー)、日本海軍大佐のタナカ(渡辺謙)、コナーの愛人スミコ(菊地凛子)らに接触を図る。

渡辺と初共演の印象を聞かれた菊地は「ご覧の通り、ざっくりと大きい人……」と語ると、渡辺がすかさず「動物園じゃないんだから!」とツッコミ。そのツッコミに菊地が笑いながら「謙さんの何でもトライする姿勢は勉強になりましたし、私自身その後の作品に活しました」と称える。すると渡辺も、多様な国&監督の下で女優経験を積んできた菊地を「集中力を保つ、俳優としての体力が鍛えられている」とコメント。

300shanghai035そしてスター俳優が結集した本作の共演者たちについて言及。女優コン・リーのすごさを菊地が「灼熱のタイでの撮影は蚊が多くて、私は虫よけ対策をしたが、彼女は涼しい顔で刺されず、汗もかかず」だと述べると、すかさず「そんなことですか!菊地さん」と渡辺がツッコミつつ、「僕は映画『SAYURI』でも共演しましたが、スクリーンではパワフルですけど、素顔はとっても繊細な人」だとフォロー。また、本作で難役に臨んだ菊地は「集中力のいる役でしたが難しいと、またそれなりにやりがいがありました」と述べたが、ネタばれを考慮して自身の役作りを語りあぐねていると、渡辺が「サスペンスなんで…」と助け舟を出すことも。渡辺も自身の役作りについて「海軍の諜報部員なので、監督と相談して海外赴任先はイギリスにし、クイーンズ・イングリッシュを一から発音の練習をやり直し、日本人の風習や立ち振る舞いもアドバイスしました」と語った。

後半は、そんな渡辺が盛り上げトークで、観客サービス。チョウ・ユンファは「僕が俳優を始めた頃から既に大スターで、ハリウッドでも先輩。だけど、実際会ってみると“いいおじさん”でした(笑)」、またスウェーデン出身のハフストローム監督との共通点を「根暗」と表現、それは「監督はいい意味で大国の人じゃない。他の国を深く理解しようとする。僕は新潟出身で、北国出身特有の暗さの中でクリエイトしていく感覚が近くやりやすかった」という真意から出た言葉。

300shanghai048監督は「当時の上海のムードや色彩、エネルギーを再現するのに苦心しました。しかしながら本作は人間を描く普遍的な物語」だと強調。渡辺も「男と女が必死で愛を紡ぎながら生きていこうとしたドラマです。こういう困難な時代でも乗り越えて生きていこうというメッセージのある映画だと思います」と締めくくった。

「芸能人は歯が命」というフレーズが流行ったが、国際派俳優には“ユーモアのセンス”が欠かせないようだ。


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原題=SHANGHAI
日本公開=2011年8月20日
配給=ギャガ
公式サイト=http://shanghai.gaga.ne.jp/


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