園子温監督、染谷、二階堂に質問集中/映画『ヒミズ』in第68回ヴェネチア映画祭9月6日(現地時間)、第68回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門での日本からは唯一の出品になる、園子温監督の最新作『ヒミズ』の記者会見が行われ、園子温監督と主演の染谷将太、ヒロイン二階堂ふみが登壇した。

2009年『愛のむきだし』ベルリン国際映画祭出品、2010年『冷たい熱帯魚』ベネチア国際映画祭出品、2011年『恋の罪』カンヌ国際映画祭出品と、世界の映画祭から高い評価を受け続けている園子温監督は、初めて世界3大映画祭のコンペ部門への出品となる本作について、東北地方太平洋沖地震後シナリオ変更に至った心情を語るとともに、作品に対する熱い想いを世界中から集まった報道陣で埋め尽くされた会場で語った。

そして、今回、実際に被災地で撮影を行っていたことも明らかになり、質問が集中。監督が「多くの人に撮影を止められ、自分の中で葛藤はありながらもここで現地に入らなかったら一生後悔すると思い、被災地での撮影に挑んだ」語ると、染谷と二階堂には、震災後の若者の心境を問われ、自分たちなりの言葉で心境を語る場面も。その後のフォトコールでは大勢のカメラマンが押し寄せ、熱狂するカメラマンのかけ声に、3人とも照れながら応じていた。

――この映画を作る思いは?

園子温監督:今回初めてオリジナルではない、漫画の原作の映画をやることにしました。10年前に書かれた漫画は、終わらない日常の退屈さ、虚しさみたいなものが若者の意識の中にあった原作「ヒミズ」を、3月11日の震災を受けて、”終わらない日常”から”終わらない非日常”があたりまえになってしまった。そういう若者を描きたかった。

――震災後の若者の心境は?

染谷将太:3月11日に震災があって、今までの日本人の若者では考えなかったことを考え始めたり、すごく悲しい思いをして立ち直ろうとしていたり、今までとは全く違う思考を若者が持ち始めていることを実感しています。

二階堂ふみ:今回震災を受けて、改めて、何も知らなかったというショックを受けている同世代の人が多いと感じています。少なくとも、私はもっともっと勉強していろんなことを知りたいと思いました。

【続報】
本作の主演住田祐一を演じた染谷将太と、ヒロイン茶沢景子を演じた二階堂ふみが、見事「マルチェロ・マストロヤンニ賞」(最優秀新人俳優賞)を受賞した。日本人が同賞を受賞するのは、初めて。
なお、9月11日夜、2人は都内で行われる記者会見に出席する。


日本公開=2012年春
配給=ギャガ
公式サイト=
c「ヒミズ」フィルムパートナーズ


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