映画
『ザ・ウォーカー』はデンゼル・ワシントンとゲイリー・オールドマンが競演した、戦慄の新世紀サスペンス・アクション。
演技派のデンゼル・ワシントンが、マチェーテを使ったアクションにも臨んでいるなんて。キャスティングもバツグンです。
『マトリックス』のジョエル・シルバーが、製作していることも関係しているのでしょうが。
映像の素晴らしさが、これほど物語を際立たせるとは!
独自の映像美学で綴る、アルバート&アラン・ヒューズ兄弟監督は、
映画『ザ・ウォーカー』によって、忘れることなき存在となりました。
原題=THE BOOK OF ELI
日本公開=2010年6月19日
配給=角川映画、松竹
公式サイト=http://www.thewalker.jp/
c 2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
『ザ・ウォーカー』予告編
※デンゼル・ワシントンのインタビューも
火山灰の降る、荒廃した森に裸足で横たわる男の死体。
毛が抜け落ち、骨皮状態の1匹の動物が匂いを嗅ぎながら近寄る。
すると、前述とは別の人物=屍に見えたガスマスクをつけた男性が、
静かに動き出し弓矢で動物を射る。彼は死体をエサに狩りをしていたのだ。
その後、男は火をおこして、射たばかりの動物の丸焼きが完成。
そこで「ネコの肉だ」と言い、ネズミに与える。
そこは文明が崩壊して30年が経った世界で、
生きながらえるために食人をする人もいるぐらい荒廃している。
なので、他者との接触は自身の命を危機にさらす。
挨拶の言葉が「手を見せろ」なのは、食人をする人間の手は特徴があるからだ。
ただひたすら西へ向かう男の名前は、主人公であるイーライ。
イーライは、圧倒的な強さで、あらゆる困難に立ち向かう。
一方で、ある町を牛耳る悪党のリーダーが狙う本は、
イーライが持っている本だったから、やっかいなことに。
それは、世界にただ1冊しか残っていない。
なぜ、たった1冊の本に、それほどの影響力があるのか。
歴史と宗教の知識があれば、より楽しめる『ザ・ウォーカー』!
冒頭から10分、その映像美学に鳥肌がたちました。
主人公の(特に五感)について、少しずつ見せてゆく。
そして啓示を受けたイーライの素性は、追々明らかになる。
その過程も、とても映画的で素晴らしかったです。
映画の公式サイトでは、監督の描いた絵コンテが見られます。
それを本編の映像と対比させる仕掛けがあり、
鑑賞後に見ると、より感動を増すことになると思います。
シニカルな面も。
悪の親玉を演じたゲイリー・オールドマンに、
「そんなもの!」呼ばわりされる数々の本たち。
その中にはベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』の表紙もチラリ。
歴史と宗教の知識の有無が、
感想を左右することになる物語かもしれません。
映像革命とうたわれた『マトリックス』にしても、
映像美学だけの物語ではなかったわけで。
歴史と宗教の知識があれば、より楽しめる『ザ・ウォーカー』。
溺愛せずには、いられません。
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