映画『コンテイジョン』スティーブン・ソダーバーグ監督が来日11月10日、映画『コンテイジョン』の来日会見がグランドハイアット東京にて行われ、スティーブン・ソダーバーグ監督が同作について「人間は究極の状態に置かれた時、どう対応するのかを描こうと思って作りました」と真摯に語った。監督の来日は、『チェ』2部作で来日して以来、3年ぶり。

ソダーバーグ監督といえば、動向が注目される監督のひとりに上げられる。本日から公開の映画『コンテイジョン』は、新種ウィルスが広まりゆく世界での見えない恐怖と、その恐怖に翻弄される人類の姿を、世界規模のロケーションで映した一級のサスペンス作品。マット・デイモン、マリオン・コティヤール、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレットといった、いずれもアカデミー賞常連の超豪華キャストが集い、全米初登場1位を記録した。

300contagion-jp一流陣がこぞって出演を希望する監督だから実現した配役かと思われたのだが、「沢山のキャラクターが登場しますが、どちらかと言えば、その分、各自の撮影期間も短くなるので、忙しい俳優たちも出演してくれたのではないでしょうか。ローレンスやグウィネスには『撮影期間は8日間ぐらいだから』、と言いましたし。何より重要なのは、映画自体がスピードある展開なので、映画を観ている観客が、そのロープに掴まってストーリーに付いて行ってもらうために、演技力が必要だったんです」と明かした。

そして題材について、「ウィルスのことを考えないのは、やはり不可能だと思います。自身も忘れたわけではないですが、閉鎖された飛行機の空間やトイレなどは、やはり少し怖いですよね。でも、握手はしますよ(笑)。ただ、映画として考えた時に、目に見えないウィルスを敵として描くのはいいなと思いました。例えば(自身の過去作)『トラフィック』であれば、麻薬は避けようと思えば避けられますが、ウィルスは、全ての人に関係してきます。ですから、映画のテーマとしては凄くいいなと思いました」と述べた。

リアルさを出すため細部に渡って監修を付けたため、「他の作品とは違った作品に仕上がったのではないかと思っています」と自負しているという。「例えば、マット・デイモン演じる夫が、集中治療室で医師から、グウィネスが演じた妻の死を告げられるシーンは、ER(緊急救命室)の医師に、そういった場面での反応を聞きました」。そしてグウィネスの死因究明のため解剖するシーンについても言及。「解剖の手順について助言を得ました。彼女自身も撮影を楽しんでくれましたし、口はどうすれば?など自ら尋ねて、演じていました。だいたい40分ぐらい微動だもせず横たわった状態でしたね」と、グウィネスの女優魂を称えた。頭皮をはがすと、うすオレンジ色の脂肪が付着しており、鼻からは黄色い液体が流れ、口は少し開き、舌が飛び出すといった驚くべき姿を本人が演じていたとは! このシーンの衝撃はぜひ劇場で確かめてほしい。

撮影秘話も興味深いものばかりだったが、個人的には監督が「恐怖に感じることは何か?」を問われた時に、「僕自身が恐怖に感じるのは、自分が感じている感覚が、他の人が感じている現実とは違うと分かったとき」と述べたことで、クリエイターの思考が伺えたことだった。

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原題=CONTAGION
日本公開=2011年11月12日
配給=ワーナー・ブラザース映画
公式サイト=http://www.contagion.jp/
c2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.




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