綾野剛の自信作、黒木華と『シャニダールの花』の誘惑を語る[シネママニエラ] 花を主軸においた映画『シャニダールの花』完成披露試写会が4月22日に渋谷の映画館にて行われ、W主演の綾野剛と黒木華、刈谷友衣子、伊藤歩、そして石井岳龍監督が登壇し舞台あいさつを行った。

綾野は「(本作が)表に出ることを本当に楽しみにしていた。いつもは非常に不安だけど、ここまで楽しみなのは初めて。賛否もろもろを受け止められる自信があります! 石井監督に翻弄されながらも、現場では『とにかく狂いましょう』と話していましたし、映像界の底上げになるような作品に、自分が微力ながらも参加できて感謝の極みです」と言い切った。

300shanidar0024aそんな綾野が「ここにいる5人はみんな変態」と断言するや、逆に女優陣から「綾野さんが一番変態」と指摘される場面も。さらに伊藤の「綾野さんが一番、花っぽいと思う。どこにいても自分の香りを放っている。変態だなと思います」というコメントに苦笑いする綾野だったが「どういう落とし方ですか!でも否定しないです」とポツリ。そういったやりとりも、すべては撮影現場で狂った経験を共有する仲間だからこそストレートに言い合えたのだと伺えるものであった。

さらに美男美女が魔性の花に惑わされる様が魅力の本作にちなみ、この日はキャストの好きな花が明かされた。綾野「オジギソウ」、黒木「シャニダールの花(*架空の花)」、刈谷「キンモクセイ」、伊藤「香りはラベンダーとバラ。手触りはチューリップ」、石井監督「なんでも」。ちなみにオジギソウは綾野の誕生花だそうで、「花言葉を調べたら失望でした」と複雑な表情を見せていた。

物語は国家機密の研究を行う特殊施設を舞台に、新薬開発の要となる謎の花シャニダールに翻弄されゆく植物学者の大瀧賢治(綾野)と新人アシスタントの響子(黒木)ら男女の姿を映していくもの。本作が改名前の石井聰亙時代から温めていた企画だという石井監督は、花を主軸に据えたことについて「花はエロスと死の象徴であり、それに侵される男女を見つめ直すことは、生命のあり方をとらえ直すこと」だと語る。

映画『シャニダールの花』予告編


英題=THE FLOWER OF SHANIDAR
日本公開=2013年7月20日
配給=ファントム・フィルム
公式サイト=http://shanidar-hana.com/
c2012「シャニダールの花」製作委員会

【南的見所はココ】ちょぴりスリリングで切なくて匂い立つ愛の物語。独自の世界観に圧倒されること間違いない!

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シャニダール洞窟の謎 (1977年) [-]
著者:ラルフ S.ソレッキ
出版:蒼樹書房
(1977-01)

【ぷち情報】イラクのシャニダール遺跡では、埋葬された骨と一緒に、花の化石が発見された。野蛮だったと言われているネアンダルタール人も死者を悼み、花を捧げていたということから、「人間の“心”の発生の瞬間」という説が実在する。『シャニダールの花』の劇中でも、この説に着想を得て、人がはじめて生んだ花という設定から、この名が付けられているという。


+act. (プラスアクト)―visual movie magazine 2013年 05月号+act. (プラスアクト)―visual movie magazine 2013年 05月号 [雑誌]
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